操船は見た目ほど楽な仕事ではない。テレビや映画にあるように舵輪を回すだけではないのだ。操船には技術と腕力の両方が求められる。帆船が登場すると、腕のよい操舵手の価値ははねあがった。たとえばギリシャの三段櫂船の場合、操船には船尾の両側にある2つの舵取り用オールが使われた。このオールを動かしていたのはたった1人の操舵手 (ギリシャ語で「キュベルネテス」) であり、通常そのかたわらには船長 (ギリシャ語で「トリエラーク」) がいて、大声で指示を出した。よい操舵手は、さまざまな条件
(風、波、潮流、嵐) に対する船の反応を感覚的に把握できたし、舵輪を動かしてから船体が反応するまでの遅れも予想することができた。これは現代にも共通する資質である。