アメリカで初めて国定記念物に指定されたのが「マト・ティピラ」だ。別名「デビルスタワー」として知られる264m強の岩山で、毎年、地質学に強い関心のある人々や冒険好きの登山者をワイオミング州北東部へと誘っている。まさに自然の驚異と言うべきこの岩山の成り立ちは、今も地質学者の間で議論の的になっているが、もとの地形の内部に貫入で生じた火成岩が侵食によって地表に露出したという説が最も有力だ。
デビルスタワーを有名にしたのはおそらく往年のSF映画だろうが、アメリカ先住民の間ではこの地にまつわる伝説が何千年も昔から語り継がれている。今日もここではサンダンスやスウェット・ロッジの儀式がおこなわれており、山道や周囲の木々には捧げ物として置かれたタバコの葉や色とりどりの布を見ることができる。
だが、頂上にはいったい何があるのだろう? たどり着いた登山者を迎えるのは、岩と、ヤマヨモギと、小さなネズミ。そして周囲360度に広がる大パノラマだ。