アステカ帝国で建造された階段状ピラミッドをテオカリという。その最上部には神殿があり、重要な宗教儀式はすべてここで執りおこなわれた。最大のテオカリとして知られているのは、首都テノチティトランの中心部にあったヒューイ・テオカリ――スペイン人はテンプロ・マヨールと呼んだ――であり、ここには戦の神ウィツィロポチトリと、農耕の神トラロックが祀られていた (アステカ文化においてなにが重んじられていたかが伺い知れよう) 。ヒューイ・テオカリの頂上には2柱の神のために2つの神殿が築かれ、そこにたどり着くための階段も別々になっていた。中南米のピラミッドは、既存の構造を土台にして後からより大きく建てなおされることが珍しくなく、西暦1325年頃に完成したヒューイ・テオカリもその後6回にわたって再建が繰り返されたが、最後にはコルテスの率いるスペイン軍によって破壊されてしまう。コルテスたちにしてみれば、この場所でおこなわれていた奇怪な儀式には好感を持てなかったのだろう。たとえばウィツィロポチトリを讃えるパンケツァリストリという祭りでは、アマランサスの種、骨、はちみつ、そして人間の血で作られた神の像に祈りが捧げられ、その後人々がこれを分けあって食べたといわれている。