斉天大聖の異名を持つ猿の王。ずる賢さと不死身の体で知られる。

孫悟空の変身: 隣接するまで敵は孫悟空を見つけられなくなる。
孫悟空の不老: 孫悟空の 寿命が大きく延びる。
迅速: あらゆる地形で 移動力にペナルティを受けない。

中国のさまざまな伝説の中でも屈指の知名度と人気を誇っているのが猿の王、孫悟空だ。孫悟空にまつわる話は非常に多く、その起源も一つや二つではない。西暦150年頃、漢の時代にインドから仏教が伝わると、同時にインドの伝説も大量に中国へ持ち込まれた。その中には『ラーマーヤナ』も含まれていた。この物語に登場する名脇役が、英雄ラーマの忠実な相棒である猿の王ハヌマーンである。漢以前の時代から中国で猿は縁起のいい動物として扱われていたので、神通力を使いこなす猿の王というコンセプトは大人気を博し、やがて独自の進化を遂げていった。

英雄であっても孫悟空は気高さとは無縁の存在だ。彼は時に自分勝手で、何をしでかすかわからず、根っからのいたずら者だ。とはいえ、北欧神話のロキのように悪魔的側面の強いトリックスターと違い、結局は善なる存在だ。少なくとも改心してからは…

孫悟空は、天界の軍勢をすべて集めたよりも強かった。彼の武器は四海の竜王たちから奪ったもので、その筆頭が如意棒だ。如意棒はとてつもなく重い金色の棒で、あまりの重さに孫悟空以外は誰も扱えない。持ち主の意に応じて大きさが変わるこの武器を、猿の王はいつも耳の穴に入れている。雲の上を歩ける靴や魔法の鎧も愛用の品だ。これらを奪い取った罪で死刑を言い渡されるが、閻魔帳を奪って自分と仲間の猿たちの名前を消し、死を免れた。神々と天界の軍勢が束になっても歯が立たないとわかると、神々は釈迦に窮状を訴えた。万物で最も大きな力を持つ釈迦はこれを聞き届け、孫悟空を自分の手のひらに閉じ込めたのだった。

もっとも、物語の主人公は孫悟空ではない。孫悟空が五行山に封じられてから数百年後、三蔵法師という僧が仏教の経典を授かりに天竺へ向かうことになった。観音菩薩はその護衛を孫悟空に命じ、言うことを聞かせるために一計を案じて頭に金の輪をはめさせる。縛めの呪文を唱えると、これがギリギリと頭を締め付けるのだ。むごいようだが、菩薩といえども相手によっては厳しく接することも必要なのだ。こうして三蔵一行は、さまざまな怪異や奇妙な土地に出会いながらもやがて天竺にたどりつき、釈迦その人から聖典を授かるのだった。

孫悟空は今でも中国メディアの人気者で、映画にも数限りなく登場している。その人気は中国だけにとどまらず、東アジア全域と東南アジアの華僑の間でも大いに愛されている。