海の英雄。富を求めた冒険者。奇妙で不思議な旅の数々で知られる。

シンドバッドの航海: シンドバッドが新しい大陸や自然遺産を発見するたびに400 ゴールド獲得する。
航海者: 外洋タイルに侵入できる。
シンドバッドの富: 隣接する敵の海洋ユニットや蛮族の野営地が対象。対象は50%のダメージを受けるか除去され、シンドバッドがただちに200 ゴールドを得る。チャージ1を消費してターンを終了する。

船乗りシンドバッドの冒険は、『千夜一夜物語』の後世の写本で付け加えられたもので、その舞台はアッバース朝の黄金時代であるハールーン・アッ＝ラシードの治世に設定されている。主人公が知恵と勇気と魅力を駆使し、しだいに危険の度を増す数々の航海を成し遂げていくというのが物語のあらましである。筋立ては単純だ。シンドバッドが船に乗って旅立ち、奇想天外で危険な獣やさまざまな敵に出会い、戦って (あるいは知恵比べで) それらを打ち負かし、富を手に入れて生還するのである。ベタではあるが、受ける要素はしっかり押さえてあると言えるだろう。

最初の航海でシンドバッドはとある島に上陸するが、そこはじつはクジラの背中だった。次の航海では、ダイヤモンドが転がる谷に住み、大蛇を食べる巨大なロック鳥に自分を運ばせる。その後も彼は航海をつづけ、各地の王に気に入られ、一つ目の巨人に立ち向かい、誰もが麻薬のような植物のとりこになっている島で正気を保つなど、数々の冒険を繰り広げる。

似たような話を知っていると感じたなら、その感覚は間違っていない。一つ目巨人や麻薬に耽溺する人々など、シンドバッドの冒険のいくつかは『オデュッセイア』からの借用だからだ。西ヨーロッパが暗黒時代の混沌にあったころ、中東にはギリシャやローマのあらゆる知恵や学問が集まっていて、シルクロードの栄華とも結ばれていた。シルクロードは繁栄だけでなく、さまざまな物語ももたらした。ロック鳥や大蛇の伝説は、インドの神鳥ガルーダやその餌食とされる蛇神ナーガの伝承にとてもよく似ている。シンドバッドの航海には、まさに世界の中心だった帝国の富と想像力が映し出されているのだ。