スンジャタ・ケイタの富は子孫のマンサ・ムーサほどではありませんが、それでも大著述家を追い求めるロシアに対抗するには十分です。

スンジャタ・ケイタの強みは ゴールドと 傑作 (書物) の2つです。マリの「ジェリの歌」は 生産力を損ないますが、 ゴールドの生産で挽回できます。スグバの隣接ボーナスでは多くの ゴールドを得られますし、マンデカル騎兵で敵を倒した場合も ゴールドが手に入ります。偉人を安く購入できるスンジャタ・ケイタの特筆すべき能力は、主としてより強力な 傑作 (書物) を作成できる大著述家の購入に使うのが得策でしょう。文化による勝利は、スンジャタ・ケイタにとって最高の買い物です。

マリ帝国はガーナ (ワガドゥー) の灰の中から生まれた。マリはサハラ砂漠の南端にある雨の少ない地域、サヘルの隅に位置する小国だった。しかしワガドゥーの衰退は、こうした小さな国に好機をもたらした。そして1230年頃、ついにマリの獅子、スンジャタ・ケイタがこの国の王となる。

『スンジャタ叙事詩』によれば、この英雄はけっして前途有望な血筋の出ではなかった。母のソゴロンは庶民で、「バッファロー女」という魅力的とは言いがたいあだ名で呼ばれていた。しかしそれはむしろ幸運と言えた。マンデの王ナレ・マガン・コナテがそのような女と結婚すれば、偉大な王が産み落とされると予言されていたからだ。

こうしてスンジャタはコナテとソゴロンの間に生まれた。外見が母親似であまり人から好かれず、さらに幼少期はずっと歩くことができない体だった。スンジャタは若者として自身の健康状態に苦労し、完全に貴族の血を継ぐ異母兄のことを恨んでいた。彼にとって歩くことは本当に大変で、鍛冶職人が作った鉄の棒を何本も折ってしまったほどだったが、それでも彼が歩き続けたのは、母に断固として命じられたからだった (バオバブの木の力を借りて歩いたとする話も伝わっている)。

しかし母子の苦労はさらにひどくなる。父王が崩御すると、スンジャタとソゴロンは追放されたのだ。安全な場所を求めてサヘルを放浪した彼らを、ほとんどの部族は冷たくあしらった。しかしメマ王国だけは違った。この国に身を寄せたスンジャタは、狩りと戦闘を学び、自分の価値を証明した。

一方、スンジャタのいない間に、事態は大きく変わろうとしていた。呪術師スマングル・カンテが現れ、荒廃したワガドゥーの征服に乗り出したのだ。恐れをなしたマリの人々は、追放された予言の王を探した。見つけた王は、まだなんと18歳の若さだった！ スンジャタはマリに戻り、バラバラになっていた諸王国をまとめ、呪術師を倒した。

『スンジャタ叙事詩』に記されているこの話には偏見が入っている。後世の書物や物語はイスラム教の影響を受けており、その土地固有の宗教を信じる支配者のことを残酷で邪悪な呪術師と表現する傾向があるからだ。こうした話の中でのスンジャタは、イスラム教を信奉する王朝を築く正しきイスラム教徒の王である。しかしスンジャタの時代は、ほとんどのマリ人がイスラム教徒ではなく、彼自身もイスラム教の信者ではなかった可能性が高い。とはいえ、わずか数世代のうちに、マリのエリート層の大半はイスラム教徒になっていた。だからこそ、それからおよそ100年近く後に冒険家イブン・バットゥータは、貴族全員がイスラム教であることを踏まえたうえで、マリ宮廷の正統的ではない慣習について苦言を呈しているのである。

マンサ (「王」の意)・スンジャタが統治した時代のマリは、規模でも豊かさでも甥の息子にあたるマンサ・ムーサの治世に及ばなかった。しかしスンジャタが西アフリカに連合王国を築き、さまざまな属国が民の代表を派遣していたことは事実である。マリこそワガドゥーの後を継いだ最初の国であり、後のソンガイもこの系譜に連なっている。

マンサ・スンジャタは若くして崩御した。川を渡ろうとして溺れたのだとも言われている。その墓は、他のすべてのマリの王と同じく、今も隠されたままだ。