ミケランジェロがルネサンス期最高の芸術家であることは、存命中に伝記が出版された初めての西洋美術家という類を見ない経歴が証明している。その生涯で彼は時に「神から愛された男 (Il Divino) 」と称せられた。傑作の数々は見る者に畏敬の念を呼び起こし、あるいは情熱を秘めた壮大さを感じさせる。

『ピエタ像』や『ダヴィデ像』などの彫刻、『システィーナ礼拝堂天井画』や『聖ペテロの殉教』といったフレスコ画、300を超える詩やソネット (十四行詩。多くは敬虔な未亡人ヴィットリア・コロンナに捧げられた) の著者にして、ラウレンツィアーナ図書館 (フィレンツェ) やポルタ・ピア (ローマ) の建築家でもあったミケランジェロ・ディ・ロドヴィーコ・ブオナローティ・シモーニは、1475年にアレッツォ近郊で地方判事の息子として生まれた。やがて成長し、10代になると画家のギルランダイオの弟子となり、ディ・ジョヴァンニに彫刻を学んだ。どちらも当時名の知られた芸術家だった。1494年にミケランジェロの後援をしていたメディチ家がフィレンツェから追放されたため、彼はヴェネツィア、ついでボローニャと居を移し、21歳の時にようやくローマに腰を落ち着けた。

ミケランジェロはすぐにいくつかの依頼を受けた――その大部分は枢機卿からだった (この時代に「よい」生活を送ることができた数少ない人たちである)。依頼が依頼を呼び、その中には教皇ユリウス2世の霊廟の制作という大きな仕事もあった。しかしこれを完成させる前に、ミケランジェロはシスティーナ礼拝堂の天井画制作を優先するように要求され、1512年までを作業に費やした。彼の名声はヨーロッパのほぼ全土に響き渡り、1546年にはサン・ピエトロ大聖堂の設計を一任された。老いた芸術家では完成を見届けられないのではないかという懸念があったが、これは現実のものとなる――1564年、ミケランジェロはローマの自宅で死去した。