ローマの中心には「コロッセオ」の呼び名で知られるフラティウス円形闘技場が建っている。西暦72年、ローマ皇帝ウェスパシアヌスの治世におこなわれた建設工事では、ユダヤ戦争でエルサレムを陥落させた際に第二神殿で得た富が財源として使われた。コンクリートと石で作られたコロッセオは史上最大の円形闘技場であり、古代の建築技術が驚くべき域にあったことを今に伝える建築物のひとつである。収容可能人数は5万から8万と言われ、観客たちはここで剣闘士の戦いや猛獣狩り、公開処刑などを見物した。やがて中世を迎え、キリスト教が根づく頃には、コロッセオは低額の賃貸住宅や工房、宗教施設、採石場、そしてキリスト教の聖地とその役目を変えていった。地震や石泥棒によって失われた部分はあるものの、最初の剣闘士の戦いがおこなわれてから2千年以上が経った今も、コロッセオはその偉容をとどめつづけている。