紳士怪盗ラッフルズやメイソンのように、架空か実在かを問わず、名高い泥棒は価値のある品を盗むものだ。スパイもときにはなにかを奪う任務を課せられることがある。その対象はだいたい計画書、設計図、暗号表だが、美術品ということもあるだろう。美術品の場合、相手政府を困らせることが目的のこともあれば、過去に戦利品や盗みの対象として奪われた自国の文化遺産を取り返すことが目的の場合もある。誰の目に触れることもなく忍び込んでは現場を去り、権力者たちを出し抜く――その技能を買われて諜報機関に雇われた大泥棒も1人や2人ではない。とはいえ、空前の大成功を収めた強奪作戦であるほど公にされることはなく、盗んだ側も盗まれた側も、決してそうした事実を認めることはない。