マリー=アンヌ・コローは芸術を理解する女性だった。モデルとして大勢の肖像画家たちにインスピレーションを与えただけでなく、自身も彫刻家として名を馳せ、対象の印象を的確に表現した作品を残した。1748年にパリで生まれたマリー=アンヌは、彫刻家エティエンヌ・ファルコネの義理の娘であり、彼を介して哲学者のディドロやエカチェリーナ2世と出会うことになる。エカチェリーナ2世は、自分の胸像だけでなく、ファルコネとディドロの胸像の制作も彼女に依頼したが、とりわけディドロの胸像はファルコネをも魅了するほどの出来栄えであったため、彼は自分が作った彫刻を壊してしまったといわれている。
彼女の作品で散逸したものや個人が所蔵しているもの以外は、現在、パリのルーヴル美術館やサンクト・ペテルブルクのエルミタージュ美術館などに展示されている。