ビレームは上下デッキに櫓が2列に並んだ漕船で、武器として衝角を備えていた。フェニキア人は古代を代表する船大工であり、この船を設計したことで多くの考古学者や歴史家から高く評価されている (「ビレーム」という言葉そのものはラテン語だが)。またフェニキア人は、ギリシャの都市国家であろうと、ペルシアであろうと、他の地中海勢力であろうと、金さえもらえれば誰に対しても喜んで軍艦を建造した。
古代の海戦は、青銅で覆った衝角で串刺しにして敵船を仕留めるか、逆に敵の衝角の餌食になって海の藻屑と消えるかの戦いであった。古代の文献には「無秩序な」、「壮絶な」、「恐ろしい」といった形容詞が並んでいるが、けっして大げさな表現ではなかったのだろう。魔除けとして船首に目を描くのが一般的だったことが、考古学的な証拠から裏づけられているほどである。