古代の港湾都市は、陸や川へのアクセスが容易で、停泊した船の安全を確保しやすく、それでいて可能なかぎり多くの停泊料を搾り取れる場所が選ばれて建設された。秦朝の広州、アテネのピレウス、エジプトのカノープスとアレキサンドリア、ハラッパーのロータル、ローマのオスティア・アンティカなどがそうした港湾都市の代表である。単なる港とは異なり、港湾都市には索具や修理道具を扱う工房、ドック、停泊所、酒場、遊廓、倉庫など、船と水夫が必要とするあらゆるものが用意されていた。また、ヨーロッパにおける港湾都市は探検と植民地化の起点にもなり、海軍の基地として軍事史を飾りもした。フェニキアやシュリーヴィジャヤ、ポルトガルといった商業帝国は、こうした港湾都市のおかげで興隆を極め、その衰退と共に没落した。数は少ないが、ニューオーリンズやカルカッタといった内陸港も、多くの地域と海をつなぐ役割をはたしている。今日ではポートサイド、ハンブルク、上海、メルボルン、サントス、香港、ロサンゼルス、バンクーバーなどが世界最大の港湾都市として知られており、無数のクレーン、迷路のように入り組んだ道路や線路、そして無数の倉庫と貯蔵庫が貿易による富を生み出しつづけている。