サハラ砂漠の砂の奥から、大きな青い目が覗いている。このまばたきを知らぬサハラの目は、正式にはリシャット構造と呼ばれ、その直径は50km近くもある。その鮮やかな色合いのおかげで、宇宙飛行士はリシャット構造を即座に見つけることができる。逆に言えば、宇宙飛行士以外の者がこれを目にすることは容易ではない。生きて地上で暮らす身でこの神秘を目にした者は、数えるほどしかいないだろう。
リシャット構造が生じた原因については諸説あるが、当初考えられていた隕石の落下説は現在では否定されている。現時点で有力なのは、「対称的な隆起と侵食」説だ。つまり、いくつもの層からなる岩盤が持ち上がって生じた、一種のドーム状隆起物だというのである。